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岡山家庭裁判所 昭和48年(少)749号 決定 1973年4月24日

少年 M・U子(昭三〇・一一・二二生)

主文

この事件について審判を開始しない。

理由

本件送致事実の要旨は、『少年は韓国籍を有する外国人で、昭和四一年一一月一日岡山市長から外国人登録法一一条一項所定の確認を受けたが、同日から三年を経過する昭和四四年一一月一日前三〇日以内に、居住地の岡山市長に同条項の確認申請を同法一五条二項所定の代理人においてしなかつたところから、同年一一月二二日満一四歳に達して以後自らその申請をしなければならないのに、これをしないで、昭和四八年三月一二日まで本邦に在留した。』というのであるが、本少年については、すでに当裁判所に昭和四八年(少第二九〇号外国人登録法違反保護事件が係属している(現在地の窃盗虞犯事件と併合して試験観察中)ところ、同事件の送致事実の要旨は、上記本件送致事実の要旨と、在留の終期「昭和四八年三月一二日」が「昭和四八年一月二六日」とされる外は全く同じであるから、両送致事件は同一であることは明らかである。

(司法警察員は、上記窃盗事件の捜査中に外国人登録法違反事件を発見して、検察官に送致したが、その後の昭和四八年三月一二日、少年が、岡山市長に対し登録確認申請をしたことから、同市長が外国人登録法違反事件を告発したため、司法警察員が重ねて検察官へ送致し、その都度検察官から当裁判所へ送致されたものである。)ところで、事件が二重に係属していないことが一の審判条件であると解すべきであるから、本件は審判条件を欠き、審判に付することができないので、少年法一九条一項により、主文のとおり決定する。

(裁判官 仲渡衛)

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